事例紹介
事業者情報
企業組合We need 江戸川事業所
所在地:東京都江戸川区北小岩1-19-2
業種:遺品整理や片付け等の生活支援サービス・施設建物清掃他
従業員数:12名
所在地:東京都江戸川区北小岩1-19-2
業種:遺品整理や片付け等の生活支援サービス・施設建物清掃他
従業員数:12名
現場で感じた違和感から、“支援される側”にとどまらない働き方を目指して
「生きづらさを抱える人々が安心して働ける仕組み」をつくることを目的に、2018年に立ち上げられた企業組合We need。千葉県市川市を拠点に遺品整理や引っ越し作業、施設清掃など多様な生活支援サービスを展開。2024年には東京都のソーシャルファームとして江戸川事業所を開設するなど、活動の幅を拡大しつづけています。実は代表の小林園子さんには自身の想いを胸に行動を起こした結果、ソーシャルファームの存在を知らなかったにもかかわらず、自然と同じ方向性の活動を実行していたという背景があります。今回は現在の活動内容に加え、ソーシャルファームに辿り着くまでの経緯、そこにかける想いをお伺いしました。
「We needを立ち上げる前は作業療法士として約10年間、精神科での業務に従事していました。訪問看護やリハビリを通じて学んだのは、『その人らしく生活すること』を重視するアプローチ。しかし、回復した方が良くなっても福祉のつながり以外に居場所がないと、結局孤立してしまう。ご利用者さんが“支援される存在”から抜け出せない仕組みに違和感を覚え、福祉制度に乗りきらない人たちのためにもっとできることがあるのではないかと考えるようになりました。彼らに向き合うでもなく、寄り添うでもなく、助けるでも、背中を押すでも、導くでもなく、ただ肩を並べて共に働く存在になりたい──そこで一念発起して退職し、2016年に『We need you!プロジェクト』を始動。名前には『あなたはここにいるだけで誰かに必要とされている』という意味を込めました。2018年に法人化する際『We need』に短縮しましたが、根底にある想いは変わりません。必要とされていない人なんて、どこにもいないんです」と小林さんは教えてくれました。
「We needを立ち上げる前は作業療法士として約10年間、精神科での業務に従事していました。訪問看護やリハビリを通じて学んだのは、『その人らしく生活すること』を重視するアプローチ。しかし、回復した方が良くなっても福祉のつながり以外に居場所がないと、結局孤立してしまう。ご利用者さんが“支援される存在”から抜け出せない仕組みに違和感を覚え、福祉制度に乗りきらない人たちのためにもっとできることがあるのではないかと考えるようになりました。彼らに向き合うでもなく、寄り添うでもなく、助けるでも、背中を押すでも、導くでもなく、ただ肩を並べて共に働く存在になりたい──そこで一念発起して退職し、2016年に『We need you!プロジェクト』を始動。名前には『あなたはここにいるだけで誰かに必要とされている』という意味を込めました。2018年に法人化する際『We need』に短縮しましたが、根底にある想いは変わりません。必要とされていない人なんて、どこにもいないんです」と小林さんは教えてくれました。
地域の困りごとに応えながら、一人ひとりが役割を持って働ける仕事を広げていく
We needが提供する事業は多岐にわたります。遺品整理、残置物の片づけ、認知症高齢者や一人暮らしの方のお部屋清掃、単身・近場の引っ越し作業、施設・建物清掃、そして行政受託の公園清掃・除草作業など、地域の困りごとに寄り添うサービスを展開しています。
「立ち上げ当初は草取りや、ちょっとした片づけが月に数件あればいいという状態からスタートしました。そこから徐々に地域の商店街の方たちや福祉・医療分野でのつながりから、少しずつ『こういうこともできますか?』と声をかけていただけるようになって。遺品整理の依頼が来たときは、清掃会社の方に教えていただきながら覚えていきました」と小林さん。現在では個人のお客様だけでなく企業からの依頼も増え、2020年からは市川市との協働により公園清掃や除草作業などの公共事業も受注しているそう。
「ソーシャルファームの存在を知らずに『We need you!プロジェクト』を立ち上げたので、初めてこの仕組みを知ったときは『私たちってソーシャルファームだったんだ』とびっくりしましたね(笑)。江戸川事業所はスタートしたばかりなのでまだまだこれからではありますが、いずれは千葉の事業所のように幅広い業務を請け負えるようになりたいです。そして私たち組合員も含めて、みんなが“まあまあ自分らしい生き方”を見つけられたらいいなと思っているんですよ」。
「立ち上げ当初は草取りや、ちょっとした片づけが月に数件あればいいという状態からスタートしました。そこから徐々に地域の商店街の方たちや福祉・医療分野でのつながりから、少しずつ『こういうこともできますか?』と声をかけていただけるようになって。遺品整理の依頼が来たときは、清掃会社の方に教えていただきながら覚えていきました」と小林さん。現在では個人のお客様だけでなく企業からの依頼も増え、2020年からは市川市との協働により公園清掃や除草作業などの公共事業も受注しているそう。
「ソーシャルファームの存在を知らずに『We need you!プロジェクト』を立ち上げたので、初めてこの仕組みを知ったときは『私たちってソーシャルファームだったんだ』とびっくりしましたね(笑)。江戸川事業所はスタートしたばかりなのでまだまだこれからではありますが、いずれは千葉の事業所のように幅広い業務を請け負えるようになりたいです。そして私たち組合員も含めて、みんなが“まあまあ自分らしい生き方”を見つけられたらいいなと思っているんですよ」。
「まず雇用する」から始まる、その人の力を引き出す仕事づくり
We needの最大の特徴は“まずは雇用する”という方針です。We needは就労が困難な状況にある人をまず採用し、そのあとに一人ひとりの特性やペースに合わせて働きやすい環境を整えていきます。
「働きたいと思っている人、働ける力がある人に機会がないという状況を解消したい──だから私たちは“採用が先”なんです。まず雇用してから一人ひとりと向き合って、どうしたら快適に働けるかを一緒に考えていくようにしています。作業療法士はお世話をするのではなく、その人が持っている力をどう活かすかを考える仕事。実は運営側は作業療法士の経験を持つスタッフが多いので、『どうやったら本人が持っている力を出せるか』という考え方が自然と組織に浸透していきました。スタッフには適性に応じてリーダーをお任せすることもありますが、フラットな関係性なのでみんなで意見交換しながらやれているのが、うちのいいところ。従業員同士が世代を超えて支え合う関係も、いつの間にか生まれていました。あるとき出勤率が下がっていた若手スタッフに届けた給与明細に、高齢者のスタッフがそっとメッセージを添えてくれて。そのことをきっかけに、若手の方が戻ってきてくれたこともあったんですよ」。
「働きたいと思っている人、働ける力がある人に機会がないという状況を解消したい──だから私たちは“採用が先”なんです。まず雇用してから一人ひとりと向き合って、どうしたら快適に働けるかを一緒に考えていくようにしています。作業療法士はお世話をするのではなく、その人が持っている力をどう活かすかを考える仕事。実は運営側は作業療法士の経験を持つスタッフが多いので、『どうやったら本人が持っている力を出せるか』という考え方が自然と組織に浸透していきました。スタッフには適性に応じてリーダーをお任せすることもありますが、フラットな関係性なのでみんなで意見交換しながらやれているのが、うちのいいところ。従業員同士が世代を超えて支え合う関係も、いつの間にか生まれていました。あるとき出勤率が下がっていた若手スタッフに届けた給与明細に、高齢者のスタッフがそっとメッセージを添えてくれて。そのことをきっかけに、若手の方が戻ってきてくれたこともあったんですよ」。
安心できる関係性の中で、自分のペースで一歩ずつ前へ進むことができました
ポンさんは2024年夏からWe needに勤務。引っ越し、片づけ、草むしりなど多様な業務を担当し、現在はリーダーとして複数の現場を任されています。
「We needで働き始めたきっかけは、生活困窮者支援団体からの紹介です。当時は過去の経験から、まだ積極的に人と関わる気持ちにはなれていなかったのですが、小林さんが親身になって話を聞いてくれるので、『ちょっと働いてみてもいいかな』って思えたんです。小林さんって、パーソナルスペースへの入り方がすごくうまいんです。いきなりグッと踏み込むのではなく様子を見ながら少しずつ入ってきてくれるから、こっちも話しやすかった。感情を表に出してくれるのも、仮面をかぶっている人が多い世の中で逆にやりやすいなって思いますね。以前は建築現場で働いていましたが、厳しい上下関係や安全への配慮不足に悩んでいたこともありました。でもここは関係がフラットで、意見も言いやすい。みんなで意見交換しながらやれるのが、すごくいいところだと思います」と笑顔で話してくれました。
「We needで働き始めたきっかけは、生活困窮者支援団体からの紹介です。当時は過去の経験から、まだ積極的に人と関わる気持ちにはなれていなかったのですが、小林さんが親身になって話を聞いてくれるので、『ちょっと働いてみてもいいかな』って思えたんです。小林さんって、パーソナルスペースへの入り方がすごくうまいんです。いきなりグッと踏み込むのではなく様子を見ながら少しずつ入ってきてくれるから、こっちも話しやすかった。感情を表に出してくれるのも、仮面をかぶっている人が多い世の中で逆にやりやすいなって思いますね。以前は建築現場で働いていましたが、厳しい上下関係や安全への配慮不足に悩んでいたこともありました。でもここは関係がフラットで、意見も言いやすい。みんなで意見交換しながらやれるのが、すごくいいところだと思います」と笑顔で話してくれました。
体調や気持ちの波を受け止め、無理なくつづけられる環境を構築してもらえました
加藤さんは約1年半前にWe needに入社。引っ越し、ゴミ屋敷の片づけ、草むしり、軽自動車での運転業務を担当しています。
「支援機関からの紹介でWe needを知り、一緒に働いている人たちの雰囲気に惹かれて入社を決めました。私はちょっと気持ちに波があって働けるときもあれば、休んでしまうことも。それでも温かく迎え入れてもらえるのは、小林さんのおかげだと思っています。昨年末に長期で休んだ際も『来るのが面倒くさくなっちゃって』という理由を受け入れてもらえて、現在は少しペースを落として週2〜3日くらい働いています。このように勤務体制を調整してもらえるのは、本当にありがたいです。職場には同年代だけでなく、親や祖父母世代のスタッフもいて年配の方々とフラットな関係で働けるのが気に入っています。同年代だけだと人間的な衝突が起こりがちだけど、ここは落ち着いています。やりがいは、お客様が喜んでくれること。体力的にきついと感じることもありますが、仲間に支えられながら日々働いています」。
「支援機関からの紹介でWe needを知り、一緒に働いている人たちの雰囲気に惹かれて入社を決めました。私はちょっと気持ちに波があって働けるときもあれば、休んでしまうことも。それでも温かく迎え入れてもらえるのは、小林さんのおかげだと思っています。昨年末に長期で休んだ際も『来るのが面倒くさくなっちゃって』という理由を受け入れてもらえて、現在は少しペースを落として週2〜3日くらい働いています。このように勤務体制を調整してもらえるのは、本当にありがたいです。職場には同年代だけでなく、親や祖父母世代のスタッフもいて年配の方々とフラットな関係で働けるのが気に入っています。同年代だけだと人間的な衝突が起こりがちだけど、ここは落ち着いています。やりがいは、お客様が喜んでくれること。体力的にきついと感じることもありますが、仲間に支えられながら日々働いています」。
支援する・されるという関係を越えて、地域の中で役割を持ち続けられる社会へ──
We needは「仕事の持つ力」を信じ、従業員一人ひとりが自分らしく働ける環境づくりに注力。活動をつづける中で生活保護から経済的自立を果たした従業員を3名輩出するなど、確実に成果を上げています。
「私たちの関係は、もう支援者と被支援者ではありません。会社は彼らがいないと成り立たないですし、お互いに必要な存在として一緒に働いている──それを実感できるようになりました。ある従業員が約1年働いて次の職場に移るとき、『俺、頑張ったでしょ?』って胸を張ったような感じで聞いてきたんです。そのとき『うん』って答えられたことが、何よりもうれしかった。彼は自分が役に立ったという実感を持って、卒業していきました」。
現在、江戸川事業所には6名のスタッフがおり、リーダーシップを発揮する若手従業員も育ってきました。「ずっとうちにいてほしいという気持ちもありますが、若いスタッフにはいろいろな可能性がある。うちだけではなくて、いろいろな会社の人たちと関わりを持っていただきたいですし、うちではない会社も見てほしい。そういう成長の機会も提供していきたいです。目標はWe needが地域に本当に必要とされる会社になること。そして支援してもらった人が、今度は誰かを支援する。そういう循環が地域の中で生まれて、みんなが自分のコミュニティの中で役割を持って生きていける──そんな未来を目指しています」。
(令和8年1月取材)
「私たちの関係は、もう支援者と被支援者ではありません。会社は彼らがいないと成り立たないですし、お互いに必要な存在として一緒に働いている──それを実感できるようになりました。ある従業員が約1年働いて次の職場に移るとき、『俺、頑張ったでしょ?』って胸を張ったような感じで聞いてきたんです。そのとき『うん』って答えられたことが、何よりもうれしかった。彼は自分が役に立ったという実感を持って、卒業していきました」。
現在、江戸川事業所には6名のスタッフがおり、リーダーシップを発揮する若手従業員も育ってきました。「ずっとうちにいてほしいという気持ちもありますが、若いスタッフにはいろいろな可能性がある。うちだけではなくて、いろいろな会社の人たちと関わりを持っていただきたいですし、うちではない会社も見てほしい。そういう成長の機会も提供していきたいです。目標はWe needが地域に本当に必要とされる会社になること。そして支援してもらった人が、今度は誰かを支援する。そういう循環が地域の中で生まれて、みんなが自分のコミュニティの中で役割を持って生きていける──そんな未来を目指しています」。
(令和8年1月取材)
